沖縄全島で親しまれているクワンソウ
クワンソウはユリ科の多年草で、もともとは沖縄全島に自生していました。
和名では「アキノワスレグサ」。名前の通り9月から11月にかけて花を咲かせます。
花も茎も食べられる伝統食材
クワンソウは、ユリに似たオレンジ色の花が特徴の野菜。
花は天ぷら。葉はお茶。茎は豚肉などと一緒に煮込み料理として、余さず食べられています。
また、食の歴史は琉球時代から続いており、王室では海外からの使者をもてなす歓待料理の食材としても使われていたことが分かっています。
そして、現在では沖縄県の指定伝統野菜28品目の1つにも選ばれています。
ニーブイイグサ(眠り草)として民間療法として使われていた
クワンソウの効果が科学的に認められるようになったのは、最近の事です。
しかし、沖縄の人は『熱で眠れない時』や『子供の夜泣き』『イライラする時』には好んで食べており、沖縄の方言で眠り草という意味の『ニーブイイグサ』とも呼ばれ親しまれていました。
眠りに効果のあるクワンソウの成分『オキシピナタリン』
クワンソウに含まれている成分の中でも、睡眠に関係があると注目を集めているのが、『オキシピナタリン』というアミノ酸です。
オキシピナタリンは、大阪バイオサイエンス研究所と同志社女子大学の研究により発見された、アミノ酸の一種。
同大学を含めた4つの機関による実験によれば、ストレスを与えたマウスにオキシピナタリンを経口投与したところ、グリシンの100倍以上という高い睡眠効果が確認でき、入眠障害と途中覚醒に効果がある事が証明されました。
オキシピナタリンは自然な眠りをもたらす
またベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤では『ベンゾジアゼピン速波』という特徴的な脳波の乱れが観測されています。
しかしオキシピナタリンを摂取した後の睡眠で脳波の乱れは確認されず、より自然な眠りの状態にある事が証明されており、睡眠薬よりも安全性が高いと言われています。
クワンソウに副作用はない
睡眠薬で心配になるのが、依存性や頭痛といった副作用の問題でしょう。
現在、クワンソウを食べたことによる副作用は報告されていません。
また、『日本食品医薬品安全センター』による試験でも毒性は確認されていません。
昔から子供の夜泣き用としても使われていた事を考えても、クワンソウとその抽出成分は安全と考えて問題はないでしょう。
クワンソウの生食はダメ
ただしクワンソウを生で食べると、お腹を壊す可能性があります。
特につぼみと茎には必ず火を通してください。
火を通しても、クワンソウの特徴である「シャキシャキ」とした食感は残りますので、美味しさに変わりはありません。
クワンソウを食べる方法
残念ながら、生のクワンソウは通販でもなかなか見つける事ができません。
本当に食べたいのなら、直接沖縄に行くのが一番です。
クワンソウの旬は1月下旬から5月下旬まで。
2月ごろには、沖縄に桜が咲く時期ですし、ダイビングが解禁される時期でもあります。
しかし、まだまだオフシーズンですのでゆっくりと沖縄観光を楽しむことが出来るでしょう。
また睡眠効果を期待するのであれば、クワンソウの葉をお茶にしても良いでしょう。
乾燥したクワンソウの葉であれば、1年を通して通販で購入する事も可能です。