睡眠は8時間が理想は本当なのか?
睡眠の常識としては、「1日約8時間の睡眠を取る事が理想」と言われていました。
しかし、最近の研究では、疑問視されています。
例えば「10時間の睡眠は鎮痛剤より体の痛みを取る」という説があります。
これは、アメリカのヘンリー・フォード病院のティモシー医師による研究で、8時間睡眠を取るグループと10時間睡眠を取るグループに熱い物を触るという方法で痛覚の敏感度を調べた結果によるものです。
一方では、アメリカで100万人以上を対象に睡眠と死亡率の関係性を調査した結果、睡眠時間が8.5時間を超える人は、6.5時間から7.5時間の睡眠を取る人に比べて死亡率が20%も高いと言われています。
逆に睡眠時間が短くなると、認知力、記憶力、集中力といった判断力が落ちていく事は、今更説明するまでもないでしょう。
さらにカナダとアメリカの大学による合同研究によれば、睡眠不足には、うつ病や糖尿病など、計86種類もの健康リスクがあると発表されています。
成功者に多いショートスリーパー
ここまでを確認すると、やはり7.5時間から8時間の睡眠を取る事が理想の様に思えます。
しかし、GoogleからYahoo!のCEOになった「マリッサ・メイヤー」。
フィアットグループ、及びクライスラーの経営を立て直した「セルジオ・マルキオンネ」。
第44代にして初めてアフリカ系アメリカ人として大統領に就任した「バラク・オバマ」。
Twitterの創業者にして、SquareのCEOを務めている「ジャック・ドーシー」
世界的に大成功を収めている彼らは、最も忙しい時でさえ4時間から5時間以下の睡眠時間しか取らず、現在もその生活を続けている人もいます。
この成功者たちを前にして、4時間の睡眠では不足だと言えるでしょうか?
睡眠時間よりも『睡眠時間帯』がより重要な理由
1日8時間の睡眠がよりとされる一方で、4時間でも問題ないという研究もあります。
睡眠に関しては多くの研究がなされているのに、なぜここまでバラつきがあるのでしょうか?
しかし、そんなバラつきのある睡眠の研究の中でも、共通している物があります。
それが、『睡眠を取る時間帯』なのです。
質の高い睡眠は『ゴールデンタイム』にある
22時~2時までの間を『睡眠のゴールデンタイム』と呼びます。
では、なぜこの時間帯がゴールデンタイムとよばれているか。
その理由は「成長ホルモン」が活発に分泌される時間帯だからと言い換える事も出来ます。
大人にこそ必要な成長ホルモン
成長ホルモンとは、脳下垂体前葉より分泌されるホルモンで、正確には「ヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone)」と呼ばれる分泌物です。
基本的な働きとしては、その名称の通り、骨の成長を助け、細胞分裂を活性化し、筋肉の成長を促進させる効果があります。
その為、子供の成長に必要なホルモンと受け取ってしまいますが、成長ホルモンは一生を通して必要なホルモンだったのです。
その代表的な例を紹介します。
肌を若返らせる
細胞の老化とは、細胞分裂が行われなくなり、健康な細胞が減少する事が1つの原因です。
成長ホルモンには、細胞分裂を活発化させる効果がありますので、自然とアンチエイジングを行う事になります。
新陳代謝のできない細胞には、肌の水分量を保つヒアルロン酸も届く事はなく、どれだけ摂取したところで、効果を表すことが出来ません
ダイエット効果を高める
ダイエット効果を上げるには、筋力量が重要な事は常識。すでに説明した通り、成長ホルモンの分泌は筋力の成長に関わってきます。
つまり十分な成長ホルモンの分泌は、筋力を高め、痩せやすい体を作る事につながるという事です。
バストアップに効果的
乳腺の中に存在する、ラクトゲン受容体に成長ホルモンが作用することでバストアップが行われることも、最近になって知られるようになりました。
体は細胞からできている
肌も内臓も髪の成長に至るまで、その全ては細胞によって形作られています。
成長ホルモンにより、これらの細胞が活発に分裂し、新陳代謝を繰り返す事で、体は傷ついた箇所を修復し、若く健康に保つことが出来るのです。
いかに成長ホルモンを分泌するかが睡眠の質を上げる鍵
先ほど、成功したショートスリーパーとして名を上げた方々は、睡眠時間が短いという他にも、「毎日決まった時間に睡眠を取り、同じ時間に起きるという規則正しい生活をしている」という共通点があります。
また、1日の中で約3分の1にあたる7時間から8時間の睡眠を取れる生活をしている人と、1日の6分の1、たった4時間の睡眠しかとらない人を比べた場合、どちらがより規則正しい生活を送りやすいかは明白といえるでしょう。
つまり、『1日に8時間の睡眠を取る』事が重要なのではありません。
『ゴールデンタイムに睡眠をとり、十分に成長ホルモンを分泌できるか』が、睡眠の質を考えるうえで最も重要であると言えるのではないでしょうか。