受験はよく勉強しよく寝て突破しろ! 安眠と記憶の関係
中学受験・高校受験・大学受験、そして学校の定期試験は、学生の進路を大きく左右する大イベントといえます。
学校の定期試験で好成績を残せなければ推薦入試の道は途絶えるし、受験で合格点を取れなければその学校には入学出来ないし、希望の進路への道筋も立たなくなってしまいます。
そのため親も教師も子供が受験に受かるよう熱心すぎるくらいの指導を重ね、合格させようとするのです。
しかし、親や教師が求める「寝ないで勉強しろ」というのは、やればやるほど裏目に出て学力を低下させる原因になってしまうのです。
睡眠中に記憶は整理される
なぜ徹夜・不眠の勉強が逆効果になるのか。
それは記憶のメカニズムに理由があります。
一日の間に見聞きし体験した事柄は、寝ている間に後で思い出しやすいように整理・収納されています。
記憶とはおもちゃや本のようなもので、遊んだまま・読んだままにしておくと壊したり無くしたりしてしまいやすくなります。
遊んだり読んだりした後に整理・収納しておくと次の日必要になった時にすぐ取り出せるようになるわけです。
寝ないでいると、部屋の中にはどんどんおもちゃや本が次々に乱雑に放り出されていって、必要なものが取り出せなくなってしまうのです。
このように「寝ないで勉強」は、肝心な勉強の内容を思い出せなくする効果しかないのです。
不眠でいると心が削られる
受験生が合格発表まで感じているプレッシャーは、周囲の人よりも遥かに重く伸し掛かってくるものです。
わかっている範囲のはずなのに答えが思い出せない、緊張で筆圧が強くなり鉛筆が折れる、完全に解答欄を埋めたのに「間違ったんじゃないのか」と不安になる、というように様々な場面でプレッシャーの影響は表れてきます。
人は眠ることでその日にあった嫌な記憶を忘れて、精神状態をリセットすることが出来るのですが、寝ないままでいるとこの機能が働かないため、不安や焦りがどんどん深まっていくことになるのです。
受験プレッシャーからうつ病を発症してしまう人は昔から少なからずいるもので、その一因には不眠勉強があるものと考えていいのではないでしょうか。
寝ないと集中力がなくなる
学生は切り札として徹夜の一夜漬けで試験・受験に臨むことがしばしばありますが、これも人によっては逆効果になることがしばしばあります。
徹夜に慣れているような非優良学生ならばともかく、規則正しく就寝・起床しているような優良学生は、徹夜することに慣れていないため、寝ないでいるとそれだけで集中力が乏しくなってしまうのです。
徹夜などで寝不足の状態の時、頭の中ではグワングワンとシンバルや銅鑼を叩いた後のような振動が長続きしている感じがあるものです。
この感覚だけでも結構きついのに、「眠い・寝たい」という欲求と「起きてなきゃ」という意識の間で揺れ動いてしまうため、集中力が発揮できず、目の前のことも手が付かなくなってしまいます。
一夜漬けするなとは言いませんが、やるならば15分か30分くらいの仮眠を入れながら効率的にやるべきだと思います。
ライバルはしっかり寝て同じ分量を勉強している
このように、寝ないで勉強することはマイナスにしかならないものですが、親や教師は「全国の受験生は寝ないで勉強している」とさも見てきたように言うものです。
しかし、実際には多くの受験生は睡眠をしっかり取った上で、寝ずに勉強する受験生と同じくらいの分量と内容の勉強をしているものです。
大体の場合、交渉などの際に比較対象に挙がる「みんな」は想像上の非実在青少年で、自分の都合のいいように話を持っていくための手段に過ぎないものです。
だからこそ「寝ないで勉強しろ」「みんな寝る間も惜しんで勉強している」という言葉は聴かなかったことにして、しっかり睡眠をとった上で勉強するべきなのです。