現代の若者を蝕む、IT社会が引き起こした病気
ある調査によりますと、中高生における携帯電話の普及率は8~9割に至っているそうです。
中でも高校生に関しては、『無いと生活できない』という人が多く、その必要性を特に感じている様です。
確かに携帯電話は、防犯対策や緊急の連絡手段として非常に役立つものですが、デメリットが全くないというわけではありません。
デメリットとして、よく言われているのが『携帯電話依存症』という問題です。
携帯電話依存症になりますと、学友とのメール交換やSNSでのやりとり・携帯ゲームが思いの大半を占めてしまい、他の行動がままならなくなります。
中には、食事中や自転車の運転中でも携帯電話を操作している人がいます。
信じられない行為です。
しかし、もしかしたらこれはまだ軽度なのかもしれません。
最近では『睡眠相後退症候群』という病気にかかっている若者が多くいます。
これは、朝方にまで及ぶ携帯電話(パソコン含む)の操作によっておきる『睡眠不足』です。
たかが、睡眠不足と思われるかもしれませんが、慢性的な睡眠不足は他の症状を引き起こす危険な物です。しかも、本人には自覚症状が無く、「ただの寝不足」として捉えられているため、治療に踏み込めず非常に厄介なものとなっているのです。
多くの若者を知らず知らずのうちに陥れている睡眠相後退症候群は、まさにIT社会が引き起こした現代病の一つと言っても過言ではないでしょう。
『返信しなきゃ』『チェックしなきゃ』が引き金
睡眠相後退症候群とは、どのような経緯でなるものなのでしょうか?
それは先程も触れたとおり、朝方にまで及ぶ携帯電話(パソコン含む)の操作が発端になります。
日常の生活において携帯電話やパソコンは必要ですが、気が付くと常に操作し、何気ない会話やメールのやり取り、ブログチェックが生活の大半を占めていきます。それは深夜遅くにまで及んでいるという事もあります。
明日も朝が早いから「そろそろ寝なきゃ」と思いつつも、『これだけ返信したら』もしくは『これだけチェックしたら』がずっと続き、気がつけば朝方になってしまいます。
体力に限界が来て、いわゆる『寝落ち状態』になり睡眠をとります。 しかし、すぐに朝が来てしまうため睡眠時間は圧倒的に削減されています。
これが何日も続くと『体内時計』に狂いが生じ、朝方にならないと眠れないという状態になります。
この様に、携帯電話やパソコンの操作が発端となり、生活のリズムが大きく崩れてしまうのです。
こうなると、遅かれ早かれ『昼夜逆転型の生活』になってしまいます。
人間の体や脳は極度の睡眠時間の狂いが生じると、何とかして睡眠時間を確保しようとします。
その為、本来起床するはずの時間が来ても無意識にアラームを切ったり、激発的な怒りを生じさせたりすることもあります。
起きたとしても『だるさ』や『頭痛』『めまい』等を感じることもあり、すっきりとしたスタートを切る事はできません。そんな毎日がずっと続くのです。
『返信しなきゃ』『チェックしなきゃ』という考えが自分を束縛してしまっている為、望ましくない結果を身に招いてしまっているのです。
携帯電話やパソコンは情報化社会にとって必要不可欠なアイテムです。
しかし、それが依存症を引き起こしてしまっているがゆえに、本来とらなくてはならない睡眠を大きく引き裂いてしまっているのです。
そして、その餌食になっているのが現代の若者達なのです。
睡眠相後退症候群は、まさにIT社会が引き起こした“現代の若者を蝕む病気”と言っても言い過ぎではないでしょう。