短時間睡眠に切り替えるのは身体によくない?
誰しも、一度くらいは「1日が48時間あればいいのになぁ」と思ったことがあるはずです。
一日の間で使える時間が多ければ、思う存分遊んでも勉強する時間が余るし、気楽にのびのびと暮らせる気がしてくるからです。
しかし、一日24時間は誰にも変えることはできないし、同じ一日でも有意義に使える人と使えない人が出来ます。
一日を少しでも多く使うための方法として最近持て囃されているのが短時間睡眠。
睡眠時間を短くすることで、時間をより多く使おうというのが狙いなのです。
一日3~4時間睡眠でも大丈夫な短時間睡眠者
短時間睡眠は、一日当たりの睡眠時間が3~4時間程度でも、健康に支障なく過ごせる体質のことです。
歴史上ではナポレオンやエジソン、最近では明石家さんま、篠田麻里子などが短時間睡眠体質をもつショートスリーパーと言われています。
「人は最低でも6時間は寝なければ頭がすっきりしない」と言われていますが、ショートスリーパーの場合は、逆に寝すぎると頭が痛くなってしまうことがあるようです。
短時間睡眠体質の人は「明るくて社交的な性格をしている」とも言われています。
短時間睡眠の秘訣はノンレム睡眠の深さにある
短時間睡眠のように睡眠時間が人によって異なってくる理由の一つは「ノンレム睡眠の深さ」にあります。
睡眠中は、身体は寝ていても脳が活動しているレム睡眠と、身体も脳も寝ているノンレム睡眠に分かれ、就寝→レム睡眠→ノンレム睡眠→レム睡眠→覚醒という流れになっています。
ノンレム睡眠が浅いとレム睡眠とノンレム睡眠の間を行ったり来たりして、睡眠時間が長くなります。
逆にノンレム睡眠が深いと、レム睡眠からの切り替わりが早く、短時間でも十分な睡眠が取れるのです。
睡眠を短時間化するとどんな健康リスクが生じるのか
本屋やネットを探せば、「短時間睡眠者になれる方法」を謳った書籍やサイトは幾らでも見つかります。
しかし、睡眠時間の長さは人それぞれの体質に依るものなので、安易に変えることは健康面でのリスクを生じさせる恐れがあるのです。
短時間睡眠は高血圧のリスクを高める
アメリカ・ペンシルバニア州立大学の研究では、睡眠時間6時間未満の短時間睡眠者は、6時間以上の人に比べて高血圧の発症リスクが3.8倍、肥満の影響を除いても1.6倍になるというデータが出ています。
実際、睡眠時間が短いと脳卒中や循環器疾患での死亡リスクがグンと高まるという研究もあるため、短時間睡眠はじわじわと健康を脅かしてしまう可能性が大きいのです。
睡眠不足はうつ病の原因
最近患者が増加しているといわれるうつ病も、睡眠不足が原因となっているといわれています。
睡眠中の脳は一日の間に体験した記憶を整理・保存していて、朝起きた時にすっきりとした状態に保とうとする働きを持っています。
睡眠不足になると、頭の中に整理しきれなかった昨日の記憶が残ってしまい、記憶の混乱や反応の遅れなどを起こしてしまいます。
連日の徹夜などで睡眠が取れない状態が続くと、幻覚・幻聴などが起こり精神的にすり減ってしまい、うつ病を起こすリスクが高まるのです。
下手な短時間睡眠は過眠を誘発する
短時間睡眠を繰り返して短時間睡眠者になろうとすればするほど、身体と頭は慢性的な睡眠不足に悩まされてしまいます
。
睡眠不足が行き過ぎると、身体と頭は、自然に長時間睡眠を行って睡眠時間を取り戻そうとします。
こうなると、会社や学校に間に合わない時間を大幅に超えて寝入ってしまう過眠を起こしてしまうのです。
このような睡眠不足からの過眠は、短時間睡眠者にも見られます。
「一日三時間しか寝ていない」と言われるナポレオンも実際は眠れるときに眠るタイプで、馬上でうたた寝をしていたり、休日は文字通り寝て過ごすこともしばしばだったようです。
体質に合わせた睡眠が一番
睡眠時間の長さは体質であり、身体が自然に求めているものといえます
。
無理に睡眠時間の長さを変えようとすると歪みが生まれて、健康面に悪影響を及ぼすことになるのです。
睡眠時間に限らず自分の体質に合っていないことをやるのは、身体に良くないものです。
満足行くまで眠り、限られた時間を有効活用するように暮らすことも大事なのです。